過払金をできるだけ多く回収するには,過払金返還請求訴訟を提起する必要があります。というのも,訴訟提起前の任意の交渉であれば,大手の貸金業者であっても過払金の元金の半額程度しか返還しないというケースが多いからです。
過払金返還請求訴訟を提起した場合は,大手の貸金業者で争点がないケースであれば計算上の満額近くの過払金を回収することができる場合がほとんどです。しかし,争点がある事案であれば,大手の貸金業者であっても計算上の満額近くの過払金を回収することは難しくなってきます。
過払金返還請求訴訟で争点となるのは,①取引の中断がある場合に中断の前後の取引を一つの取引と言えるかどうか,②貸金業者が民法704条の悪意の受益者かどうかが中心です。
最近,過払金返還請求訴訟で争点となっているのは,消滅時効の起算点です。最高裁は,過払金返還請求権の消滅時効は,過払金充当合意が法律上の障害となるので,特段の事情がない限り取引の終了時であると判断しています。貸金業者との取引では,取引の途中で種々の事情で貸付停止措置が取られ,その後は借入ができず,返済するしかないという場合があります。この貸付停止措置が取られたことが最高裁判決のいう特段の事情に該当するのではないかという争点です。
この点について,貸金業者の主張を認めた下級審の裁判例が少なからず,存在しているようです。