過払金返還請求訴訟において,貸金業者が民法704条の悪意の受益者かどうかが争点になることが増えてきています。
貸金業者が民法704条の悪意の受益者であると判断されれば,過払金発生時から法定利息(5%)を付加した上で過払金を返還しなければなりません。一方,貸金業者が民法704条の悪意の受益者ではなく,善意の受益者であると判断されれば,過払金発生時から法定利息は付きません。
過払金発生時から法定利息を付加するかどうかによって,過払金の金額が大きく変わってきます。そこで,貸金業者が訴訟において民法704条の悪意の受益者かどうかについて積極的に争ってくる事案が増えました。
最高裁平成19年7月13日判決によって,貸金業者は原則,悪意の受益者であると推定されますので,貸金業者は悪意の受益者であると判断している裁判例が多いと思います。
しかし,最高裁平成21年7月10日判決により,裁判例の傾向は変わっています。裁判例では,①貸金業者は過払金発生時から悪意の受益者である,②貸金業者は最高裁平成18年1月13日判決の言渡し以後は悪意の受益者である,③貸金業者は悪意の受益者ではないという3つに分かれています。③の裁判例はごく少数だと思われますが,②の裁判例は少なからず存在します。
悪意の受益者かどうかが争点になった場合,貸金業者が大量のジャーナルを書証(証拠)として提出しますので,裁判が長期化する傾向にあります。
なお,この点について最高裁の弁論が平成23年11月10日にあり,最高裁の判決が注目されます。
(大阪 弁護士)