過払い金返還請求訴訟で最も争点となるのは,取引の一連性の問題です。約定債務の完済後,数か月から数年経過した後,再度貸付けを受けた場合,完済前の取引と再貸付け後の取引とを一連で計算するのか,それとも別々に計算するのかが争点となります。
一連で計算するのか個別に計算するのかによって,過払い金の金額は大きく異なります。過払い金の金額の差は200万円以上というケースも珍しくはありません。
取引の一連性については,すでに複数の最高裁判決が出されています。最高裁判決の結論をまとめると,①過払い金をその後の貸付金に充当するには過払い金充当合意が必要である,②過払い金充当合意が認められるのは,基本契約が締結されている場合,1個の連続した貸付取引と認められる場合及び一つの貸付の際に次の貸付が想定されている場合であるということになります。
さらに,一連の最高裁判決を整理すると,基本契約が1個の取引であれば,空白期間の有無にかかわらず一連で計算することになり,基本契約が複数の取引であれば,それらの取引が事実上1個の取引かどうかを検討します。結果的に,事実上1個の取引と判断されれば,一連で計算することになり,事実上1個の取引ではないと判断されれば個別に計算することになります。
基本契約が複数の取引が事実上1個の連続した取引かどうかは,最高裁判決を前提とすると,①第1取引の基本契約に基づく取引期間の長さや第2取引の基本契約までの空白期間の長さ,②第1取引の基本契約書の返還の有無,③ATMカード失効手続きの有無,④空白期間における貸主と借主の接触状況,⑤第2取引の基本契約が締結されるに至った経緯,⑥第1取引と第2取引の各基本契約における利率等の契約条件の異同及び⑦その他の事情により判断することになります。